部屋に入ると、カラオケランキングのテロップが下から上に流れていた。

早く歌を決めて、このシーンとした雰囲気を変えなければと必死だった。
真嶋先輩は、下を向いてただ黙っていた。

普通は、「元気を出して〜♪」みたいな歌がいいのだろうけど・・

その時、何のランキングかはわからないが、テロップで流れていた
ケツ○イシ 『涙』 をすかさずセレクトした。

元気を出して〜みたいな歌だったような記憶で、歌ったことのある歌だった。

が・・!?彼女は号泣してしまった!

よく歌詞を見ると、涙枯れるまで泣いて〜♪だった!
失敗したぁ〜って思ったが、後戻りも出来ずに一生懸命に唄った!

真嶋先輩はワァンワァン泣いていたが、その声は、たくみの歌声と音楽で書き消していた。

次の日、あのカラオケが金曜日でよかったと思う。
今頃、真嶋先輩は昨日から泣き続けたせいで、腫れた瞼を冷やしているのだろうと思った。

月曜日に会うまで、いろいろ心配してたけど、その心配は必要なかったようだ。