さよならとその向こう側

それだけを告げて、応接室を後にした。




この時、彩夏に真実を聞き出そうとは考えもしなかった。

それはつまり、彩夏の事を信用していなかったんだ。

教授の言葉を、一つの可能性を、信じてしまった。



そして、将来の夢を、自分の誇りを、捨てる事は出来なかった。








けれど、結局彩夏と別れる事なんて出来なくて。



彩夏を愛しているという感情に勝てなかった。

醜い涙まで流して彩夏を引き留めてしまった。

俺は最低な人間だ。