さよならとその向こう側


「彩夏、だいぶ痩せた?」

優しく、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。




「・・・どうして?なんでここにいるの?」

自分の涙のせいで、良く見えない。

ずっと、ずっと会いたかったのに。


「・・・・・・実。」


久しぶりに呼んだ彼の名前。

口に出すと、余計に愛しさが込み上げてくる。


    

すると実は、少し微笑んで私の左手にそっと触れた。


「これ、つけてくれてるんだ。」

嬉しそうに言うその目線の先には、最後に貰った指輪。



「・・・あ。あの、これ・・・」


別れを切り出したのは私なのに、指輪は肌身離さず見に着けていて・・・
なんて言い訳をしたらいいのか、頭が回らなかった。


だけど、そんな私の事を実はそっと包み込みように抱き締めた。