さよならとその向こう側


「お父さん、お母さん?私もこれで、なんだか安心したよ。」


潮風を受けながら、二人に話しかけていた。


・・・ザク ザク

遠くから霊園の砂利を踏む音が聞こえる。

お盆の季節にはまだ早い平日の昼間。

それでも、私の様にお墓参りに来る人はいるんだ。
命日なのかな?

頭の片隅でそんな風に思っただけで、特に気にもしなかった。



「ちょっと風が出てきたから、暑さが和らいできたみたい。」

少し遠慮して小声で語りかけていたのに




「そうですね。」


後ろから返事が返ってきた。






・・・・・・え?

この声は・・・


聞き覚えのある声。

私が間違えるはずがない。


ドクンドクン脈打つ心臓。

なんで?どうして?

胸をギューッと締め付けられる様な息苦しい感覚に襲われて、ゆっくり後ろを向いた。




「久しぶりだね?」


私の目に映るその人はなんだか光り輝いて見えて・・・

気が付いたら、涙が頬を伝っていた。