さよならとその向こう側


叔母さんが血相を変えて持ってきた電話の相手は静岡県警だった。


誰もが諦めていたお母さんの遺体が発見されたとの知らせだった。


もう10年以上が経っていて、私も叔母さんも叔父さんも信じられない気持で一杯だったけれど、今の時代、髪の毛1本からでも個人を特定できるらしい。

海に身を投げたお母さんの髪の毛が残っていただけでも、私には奇跡に思えたけれど。


その奇跡的に発見された体の一部を焼却して貰い、お父さんと同じお墓に入れた。



そして事件は、警察も私達も想像通りの、お母さんの自殺という形で結末を迎えた。