さよならとその向こう側

―――――――

「彩夏!彩夏大変よ!」


それはいつものように、客室の片付けをしていた時だった。


私の名前を呼びながら、フロントから慌てて走ってくる叔母さん。


「叔母さん?どうしたの?」

ちょうど掃除の終わった部屋から廊下に出ると、叔母さんは息を切らしながら電話の子機を握り締めていた。


「誰かから電話?」


私の問い掛けに、頷いて子機を差し出して来た。

そして困惑した表情で

「…静岡県警からなの……。」

と言った。