さよならとその向こう側


「私はいいよ、綾が無事に戻ってきてくれたから。」

そう言って微笑む亜沙美が、なんだか天使に見えてくる。


「亜沙美~。ありがとう。」

嬉しくて抱きつこうとした時、

「綾はいじめ甲斐があって楽しいからね♪」

なんて、からかわれてしまった。




「しかし、平日は暇だよね~。」

亜沙美はカフェテリアの大きな窓を見ながら呟いた。



昼下がりのアウトレットモール。

今日は日差しが眩しくて、外は汗ばむくらいの陽気。

もうすぐゴールデンウィークがやって来るから、それまで暇なのは毎年恒例の事。


一昨年だっけ、実さんの事を亜沙美と敦に相談していたのは。


状況が変わっても、相変わらず私はここで働いている。

でも、色々な経験をして、少しでも成長出来てるのかな?


出来てるといいな・・・。


今後、もし実さんを見かけても、この胸がざわつく事がなければいいな。

実さんと彩夏さんを祝福出来るくらいになれたらいい・・・。




「でさ、話戻すけど、返事どうするの?」


「え?!」

ガシャ----ン!!!

突然話を振られて驚いたあまり、目の前のアイスコーヒーをこぼしてしまった。


「あ・・・」

「ちょっと~、何やってんのよ?」

亜沙美は、呆れながらおしぼりを取りに行ってくれた。

「ごめん。」

あ~!!!恥ずかしいよ。情けないよ。ホント何してんだか・・・。