「綾?」
「…はい。」
「さっき川上が言った事だけど、事故の日の事。」
「あ、うん。」
「あの日、亜沙美のところに綾のお母さんから連絡が入ったんだ。
綾が行方不明だって。
で、亜沙美が血相変えて俺のところに来て。
綾がいないって聞いたらさ、俺相当焦っちゃって……売場放り出して探し回った。
最近綾の様子がおかしいって亜沙美から聞いてたから。
川上は、そんな俺を見て分かったんだろうな。
俺の気持ちが綾に向いてるって。
……ちょうどあの日クリスマスイヴで、朝、川上からプレゼントを貰ったんだ。
上手く断ったつもりだったけど、なんか悪かったな?まさか綾を叩いたりするとは――」
「……」
ううん。
そう言いたいけど上手く言えなくて、首を横に振る。
私には、ただ好きな人の事しか見えない川上さんの気持ちが、痛い程分かるから――。


