さよならとその向こう側

それから、敦はこちらを見ないまま、棚から冷却シートを取り出す。


「あった、あった。」

「……」

「綾、肌弱くない?たまにこれでかぶれる奴いるからな……。水で冷やしたタオルのがいいか?」


「そんなのどっちでもいいよ。それより――」

「気にするなよ。俺は、綾を助けられて良かったと思ってる。だから謝る必要なんて無いんだ。」


「…でも…」


「面接はまた来年もあるんだ。だから大丈夫。……綾こそ、川上が叩いたりして悪かったな。」


敦は申し訳なさそうにそう言い、私の腫れた頬にそっと触れた。



「…う…うん。」


どうしてだろう?

ドキドキする。

敦は、ただ心配してくれてるだけだよ。

そう自分に言い聞かせても、ドキドキは止まらない。

だって、さっきの敦と川上さんの会話が頭から離れなくて――。


特別って。



どんな意味?