だけど敦は、彼女を見て軽くため息をつく。
「川上は、今日はもういいから帰れ。
それと…頼むから、綾に八つ当たりしないでくれよ。」
へ?
八つ当たり?
やっぱり状況が飲み込めない。
でも、なんだか口を出す気にもなれず黙っていた。
「店長、私やっぱり諦めたくないんです!」
川上と呼ばれた彼女は、涙目で訴える。
…諦められない?
それは敦の事なのかな?
じゃあ、川上さんは敦に振られてる……って事?
そっと敦の顔を見ると、困惑した表情だった。
――知ってる、この表情。
実さん、ずっとこんな表情だったから。
私も、この川上さんみたく、実さんを困らせてたんだね。
最低だったな…私。


