さよならとその向こう側


「…店長が、可哀相です!何も知らないくせに……ひど過ぎです!」


涙ながらに彼女が言った事。

でも、私には意味が分からない。


だけど、それを聞いた亜沙美は、気まずそうに黙り込んでしまった。


「…あの。意味が分からないんだけど。」


四方八方からの視線が痛くて、大声を上げて反論する気も、彼女を咎める気もしなかった。

だから、ごく普通の調子で尋ねた。



だけど、私何かした?

本当に意味が分からない。

すると、小さくため息をついてから、亜沙美が口を開く。


「…ねぇ、敦の店の子?気持ちは何となく分かるけど、何も綾を叩く事無いんじゃないの?」


だけど、彼女は私から目を逸らす事無く、その大きな瞳から涙を零している。