さよならとその向こう側


「――で、何の話だっけ?」

呆れ顔の亜沙美に、恐る恐る尋ねる。

「だから、敦の事!」


「あ、そうだよね。ごめん。」

「まぁ仕方ないよね、昇格がかかった大事な役員面接欠席しちゃったんだし。」


敦は平社員の私とは違い、今は店長をしている。

でもやっぱり上を目指しているらしく、次はエリアマネージャーだ!って意気込んでいたのに。


「…なんで、欠席したの?あんなに張り切ってたのに。」


「はぁ?――綾、本気で言ってんの?」


不思議に思ったから聞いたのに、亜沙美は驚いていた。


「もしかして知らないとか?」


知らない?

何を?

そう亜沙美に聞き返そうとした時だった。




――バチ-ン!!!!!!!!



頬に衝撃が走って、思わず押さえ込む。