さよならとその向こう側




これが、私の25歳の誕生日。


別れ際、実は私にプレゼントをくれた。

貰えないと断ったけど、

「彩夏の為に買ったから、せめて身に付けていて欲しい」

と頼まれた。


帰りの新幹線の中で開けてみたら、綺麗な指輪だった。

婚約指輪のつもりだったんだと気付いて、また涙が零れる。



幸せになって、実。

私はやっぱり、お母さんとお父さんの娘でいたいから、あなたとは一緒にいられない。





  















「事件が時効を迎えたら、必ず彩夏を迎えに行くから。
その時には諦めて、俺と結婚して下さい。」


それが、実が言った最後の言葉。

聞こえないふりをしたけど、耳にこびりついて離れない。