私はただその鍵を見つめた。
実の話って何だろう?
私がずっと待ち望んでいた話なのか、それとも別れ話なのか。
分からないから、聞くのが怖い。
手に取るのをためらっていると、志乃は私の手にその鍵を握らせた。
「・・・・・・志乃、私怖いよ。」
「分かるよ、彩夏の気持ち。だから、後は彩夏が決めて?私は言われた通り渡しただけだし、会いに行くかどうかは彩夏次第だと思うから。」
「・・・・・・」
「でも、どちらにしても、後悔だけはしないようにね?」
志乃はまた私の手を包み込んでくれた。
暖かい志乃の手は、私と私の手の中の鍵を温める。
後悔だけはしないように
志乃のその言葉が何回も頭の中で繰り返された。


