さよならとその向こう側


「ごめんね。彩夏。・・・本当にごめん。」


「・・・ちが・・・・・・いいの。・・・志乃は悪くないよ。・・・いいの。」


やっとのことで絞り出した声でそれだけを告げた。


私の震える手を、志乃の暖かい手が包んでくれた。


「私こそ・・・・・・ごめんね。嫌な思いさせて・・・変な気を使わせて・・・」



志乃の手が暖かくて、涙が零れた。

でも、ランチバイキングで賑わう店内で目立ちたくなくて、慌てて涙を拭った。





-----実も同じ様に動揺したのだろう。

そう思うと胸が苦しくなった。


厄介な過去を抱えている私なんか、もっと簡単に切り捨てれば良かったのに。

それが出来ない実は、優し過ぎたね。

私が離れたくないって、泣いて訴えたから・・・。



ごめんね、実。