情けなくて悔しくて、もう何も言えなかった。


せめて最後の意地悪で、私はクリスマスイヴの事を打ち明けるのはやめようと決めた。


どんなに邪魔したって、きっと実さんは彩夏さんに会いに行って、結局二人は結ばれるんだ。

彩夏さんに嘘をついても、実さんの携帯を隠しても、何も変わらない。



私は・・・ただ二人の邪魔をしていただけ。



何も言えなくて、頬を伝う涙を見られたくなくて、ただベットから窓の外を眺めていた。

実さんの方は向けなかった。


外はまだ、しとしと雨が降り続いている。






長い沈黙の後、実さんは静かにお辞儀をして病室を後にした。


その様子が窓に映って、ガラス越しに去っていく実さんを見ながら、堪えていた想いが一気に溢れる。


「・・・うぅ・・・ふぇ・・・。」

沢山の涙と共に、嗚咽が漏れる。


だけど実さんの前で声を出して泣かなかっただけでも、自分を褒めてあげたかった。