さよならとその向こう側


「あの、最後にもうひとつ聞いてもいいですか?」


「…ええ。」



「さやかさん……は、一緒に大学を辞めるのですか?」

「え?」


私の質問に、実さんは酷く驚いていた。

でもすぐに、何かを決意した様な表情をして話してくれた。



「…彩夏は、もう大学を辞めてます。」


「そうですか。」


やっぱり二人は一緒に生きて行くんだ。

そう実感して、涙が零れる。


「…実は…私も知らなかった。今は全く連絡が取れていないので。」


「…え?」


実さんの言葉に耳を疑った。

でも、実さんは真剣な顔をしていて、とても嘘をついている様には見えない。



「彩夏とは、けじめがつくまで会わないと決めていた。ですが、どうやら待たせ過ぎた様です。年が明けたら、大学から姿を消していました。」


…寂しそうな実さんの表情。

見ているだけで、胸が締め付けられそうだった。


だって……彩夏さんを想って、こんなに切ない表情をするんだもの。

私の為に、こんな顔はしてくれない。


“敵わない”


そう実感して、また苦しくなる。