さよならとその向こう側


やだ、何?


「実さん?!止めて下さい!」


驚いて咄嗟に叫んでいた。

すると、ゆっくり顔を上げた実さんは、私に最高の笑顔をくれた。


「綾さん、今まで本当にすみませんでした。あなたの気持ちを踏みにじって傷付けて……事故に遭う原因まで作った私を許して下さって、ありがとうございます。……私も今日で最後にしようと思っていました。」


「え?最後って…?」


自分で言ったくせに、実さんの口からそんな言葉が出て来て、思いっ切り動揺してしまう。


だって最後なんて。

何か引っ掛かる。



だけど実さんは笑顔を浮かべたまま告げた。


「大学を辞職します。ですから、もう綾さんの前に姿は見せません。」



それは………もしかして、私のせい?


私の事が有ったから、父と一緒に仕事がしにくくなったから?

それとも父に辞める様に言われた?