さよならとその向こう側

「……うん。今気が付いた。私、自分さえ良ければそれでいいと思ってた。実さんの気持ち、無視して…。」


「それだけじゃないだろ?亜沙美、すっげえ心配してたぞ。綾の様子がおかしいけど、口も聞いてくれないって。」


「…あ。」


そう。

実さんの事あんな風に言われて、頭に来て、あれ以来亜沙美の事避けてた。


嫌われてると思ってたのに、心配してくれてたんだ。


「亜沙美、許してくれるかな?」


「大丈夫、あいついい奴だから。だから、ちゃんと謝れよ?」



「うん、もちろん。」


また、前みたいな三人に戻れる?

世間知らずな私の下らない相談にのってくれる?



「それと、神田実からも逃げちゃ駄目だ。」


「え…。」


突然の敦の言葉。

実さんと向き合って、現実を受け入れろって事?


「……敦。私まだ怖いの。」


亜沙美とは仲直りしたいけど、実さんとはまだ、会いたくない。