さよならとその向こう側

「……なんだよ。――――。」



そう呟いて、敦は突然額を押さえてしゃがみ込む。


――え?

何、どうしたの?


「敦?どうしたの?大丈夫?」


だけど敦は返事をしてくれない。

相変わらず俯いたまま額を押さえている。



「…ねぇ、具合でも悪いの?」


もしかして怪我が痛いの?

心配になって顔を覗き込もうとした時だった。



「――良かったよ、無事で。」


敦は小さな声でそう言った。