どんなに嫌われても、簡単には諦められない想いだから――。




そして、少しの沈黙の後、気を取り直した様にお母さんは切り出した。


「それより綾?あなた覚えてるのかしら……敦さんはもう退院してるのよ。」




「……え?」


敦?

敦が、退院?


「…お母さん、何の事?」

意味が分からない私は、当たり前だけどそう聞き返す。


すると、答えてくれたのは父だった。



「彼は綾を助けてくれたんだよ。車にひかれそうだったのを見つけて、後ろから綾を引っ張ってくれたんだ。だからこそ、こんな怪我だけで済んだ。」



「………。」


嘘でしょ?

敦が?


じゃあ、私の名前を呼んだのは――。