さよならとその向こう側


お母さんは、何も言わず、ただ頷いた。





―――実さん。

毎日、来てくれてたの。

こんな、私の為に。




実さんの事を考えると、胸が締め付けられて苦しくなる。

――思い出さない方が良かったのかもしれない。


忘れたままの方が、よっぽど楽だったかも。





でも、でも、それでも実さんに会いたいと思う。

実さんが来てくれていた事が、嬉しくて堪らない。