さよならとその向こう側


「…綾、あなた…。」


私の言葉を聞いて、お母さんの表情が曇る。


そんなお母さんに目配せをして、父は私のベッドの横にある椅子に腰掛けた。




「綾。綾が事故にあって以来、神田君は毎日見舞いに来ているよ。つい先程も、ここへ来ていた。」


…つい先程。

じゃあ、廊下でお母さんが話していたのは……。



「お母さん、私が目を覚ました時に廊下で話していたのって…実さんなの?」