さよならとその向こう側




「そして、外傷はありますが、脳に異常は見られませんでした。」


先生は、淡々と言葉を続ける。


「でも、今日目が覚めるまでに、一ケ月程経っています。」


あまりにもさらりと言うので、聞き逃してしまいそうだった。




「・・・え!?」


私の驚きにも先生は表情を変えなかった。


「大丈夫です。先程も説明しましたが、脳に異常はありません。何か・・精神的なショックが重なって、目覚めるのを遅くしたのかと。」



「今日って、何月何日ですか?」



確認するのが怖かったけれど、先生が見せてくれた卓上のカレンダーを見つめる。


そして先生の指は、2月を指さしていた。