さよならとその向こう側




「…おばあちゃん。」


そう声を絞り出すのがやっとだった。



その光景は余りにも絶望的に見えて、堪え切れないやり場の無い感情に襲われた。

涙が後から後から溢れ出し、おばあちゃんがよく見えない。



「……おばあちゃん。」



それでも側まで行き、ベッド横にある椅子に腰掛けた。


そして、奮える手を出して、ベッドの中の冷たい手を握った。




おばあちゃんの手は、こんなに弱々しかった?

血色の悪いギスギスの指は、皮と骨しかないみたいで……。

余計私の心を締め付ける。



ごめんね。

もっと沢山、おばあちゃんに会いに帰ってくれば良かった。


毎年、年末に一度の帰省で私は満足してた。

だから、おばあちゃんがこんな姿になるまで知らなかった。



……ずっと、癌に侵されていたなんて………。