さよならとその向こう側

時間は午後四時をまわっていた。



教授とは、それぞれ思い当たる場所を、手分けして捜す事にした。


移動中の車の中でも、時々携帯を鳴らしてみたが、綾さんは出てくれない。



・・・・・・教授が心配するような、最悪の事態にならなければいいが。






車を走らせていて、ふと気付く。


綾さんが行きそうな場所を、私は殆ど知らなかった。




一緒に父の日のプレゼントを買いに行った店や、その日二人で食事した店。


綾さんの友達と会った居酒屋。



綾さんの働いているショッピングモール。




全て見たが、捜したが、綾さんはいなかった。