さよならとその向こう側

コンコン


「失礼します。佐和田教授宛のお手紙をお持ちしました。」


そう言って研究室に入って来たのは事務の女性だった。


「ああ、有り難う。」


お礼を言って受け取る教授を見て、彼女は不思議そうな顔をした。


「教授?もう娘さんは帰られたのですか?」


「え?…綾が来ていたのか?」


「あら?お会いになられてないのですか?この研究室に入る姿を見かけたのですが……。」



彼女の言葉を聞いて、私と教授は顔を見合わせた。



とても、嫌な予感がした。