電話の相手は実じゃなかった。
「ううん、大丈夫だよ。」
それは、あの事件以来、私を養女として引き取ってくれた、母の妹にあたる叔母からだった。
『クリスマスだからね、彩夏は彼氏と過ごすんだろうなって思ったんだけどね。』
「やだなもう、変な気を使わないでよ〜。」
私を大切に育ててくれた、大事な叔母さん。
だから、余計な心配をかけたくなくて、わざとらしい位明るい声を出した。
「でも、どうかしたの?」
『……あのね、彩夏――。』
叔母さんの話は、信じたくない内容だった。
やり切れない思いが、更に積み重ねられていく。
辛い事ばかりが、どうして続いてしまうのだろう…。


