さよならとその向こう側


--プルルル

--プルルル



呼び出し音が聞こえ始めたら、心臓がバクバクしてきた。


まだ、実が電話に出たわけでもないのに、胸が締め付けられて苦しい。



--プルルル

--プルルル



出ない。

…今は忙しくて出れないのかな?



そう思いながらも、もう少しだけ待ってみる。



--プルルル


--プルルル



--プルルル



…実?

どうして出ないの?


--プルルル



出れないんだよね?

わざと、出ないなんて事、無いよね?


--プルルル

--プルルル



もう、何回鳴らした?


さっきから、自分でも数え切れない位鳴らしてるのに、実は電話に出てくれない。



今までなら、仕方ないとか、またかけ直そうとか思えたけど。

今の私にそんな心のゆとりなんて無かった。



私と話したくないから、わざと出ないんじゃないかって……マイナスの考えばかりが頭を過る。



酷いよ、実。

今日はクリスマスイブなのに…。