さよならとその向こう側


「さやか…。」



どこかで、聞いた事がある名前。


でも、そんな事より…。


きっとこの"彩夏"が、実さんの想い続けている彼女のはず。



ブ――ブ――ブ―


鳴り止まない携帯を握り締めながら、私の女の勘がそう告げていた。





そしてそのまま研究室を飛び出して―――。



私は、人目につかない非常階段を通って、屋上へ向かった。



無我夢中だった。


気が付いたら、勝手に体が動いていた。