さよならとその向こう側

「実…さん?」


動揺を悟られない様に、精一杯普通の声で話かけた。


なのに…。

何故?
どうして答えてくれないの?


お願い。
ちゃんと答えて。


胸が締め付けられたみたいに苦しくて。

全身が震え始めた。








しばらくして、実さんは言った。


「綾さん。………大事な話があります。迷惑でなければ、今から会えますか?」



その言葉からは、何か覚悟を決めた様に感じられた。