「いつも、嫌な思いばかりさせてごめんな?」


優しい声が頭の上から聞こえる。

大好きな実の声。


「ううん。だって、一緒にいたい、離れたくないって我が儘を言ったのは私だから…。」


そう。

困らせているのは私。

あの日実は別れを決意していたのに、私が離れないと決めたから。

だから今の関係になってる。

だから、私さえ覚悟を決めれば。




「ねぇ彩夏?聞いて欲しい。…今の電話、綾さんからだった。」


「……うん。」


もうこれ以上、実を苦しめる事はやめよう。

私は実の話を受け入れる。

そう決心して顔を上げた。