俺は暫く一人考えているとやっと我に返ったように教室を見渡した。
人影はもう殆ど無くなり、居るのは義樹と俺だけだった。
義樹はと言うとうつ伏せになったまま動いた気配は無い。
多分この状態で寝ているのだと思う。
「のんきな奴…」
俺はまた呆れたように一人呟くと立ち上がり、両手を上へと上げ伸びをした。
そして義樹をこのまま置いて行こうかと思ったが流石に可哀想な気がして近くに置いてあった本で義樹の頭部を思いっきりバシッと叩いた。
叩いたのと同時にゴンッと言う鈍い音も鳴った。
多分叩いた時に額を机にぶつけたんだと思う。
「…いて!…ん?、ん?……あ、雄どうした?」
義樹はいきなりの事で驚いたように頭部を手で押さえながら俺を見た。
「どうしたって、お前が寝てたからだろ?なんだその顔…ははっ、じゃあ俺帰るわ」
俺は義樹を見るなり義樹の反応に思わず笑ってしまいながら教室を後にした。
「…え、あ!待てよ雄!!」
義樹もまた俺の後から焦ったように走って追ってきた。

