ふたつの恋の物語

『そうだな・・・ごめん。』

そう言って強く抱きしめた。



「決めた!!!」

あたしが大声で叫んだからハルはあたしから離れた。

『うわっ!
なんだよ・・でかい声だして。』

「見せびらかしちゃえばいいんだ!」

『は?』

「まあ、気にするなって!
さ、戻ろ〜!」


ハルは頭にはてなを浮かべたままあたしたちは体育館に戻った。



体育館はあたしとハルがいなくなったから大騒ぎになっていた。

バレーの練習になったのであたしは気合いを入れてやった。

まあ役には立たなかったけど・・・

うちのクラスは経験者が結構いるから大丈夫だろう。


体育館の練習が終わるとハルが声をかけてきた。

『東子、今日お昼一緒に食お。』

「いいけど・・・なんで?」

『話あるから。』

「ふーん・・・」



クラスへ戻りお昼休みになったのでお弁当を持ってハルの所へ行った。

すると・・・


『とーこ先輩!』

「順くん!」

教室のドアから顔を出していた。
睨みつけているハルなんて気にもせずに話を続ける。

『先輩これから暇ですか?』

「いや・・・お昼行くとこだけど・・」

『じゃあ俺とランチしましょ?』

『アホか。こいつ俺のだから。
行くぞ。』


ハルはあたしの手を握って教室を早足で出る。

「あっ、順くんまたね!」

『またねじゃねえ!』

隣でハルが怒鳴っている。
順くんは嬉しそうに大きく手を振っていた。