ふたつの恋の物語

声のした方を見るとハルが立っていた。
今まで見たことない怖い顔をして。


「ハル・・・」

あたしは掴まれた手を振りほどいた。


順くんは階段を上がってハルと並び睨みつけた。

『じゃあ悲しませんな。』


やっぱり順くんの方が身長が高い。
でもハルの迫力も負けてない。


あたしは階段を駆け上がって2人の間に入った。


「いい加減にしなよ!」

『東子・・・』

「順くんに関係ないでしょ。
あたしの問題なんだから。」

『じゃあな。』


ハルはあたしの腕を掴んで階段を降りた。

「痛いっ・・・」


あたしの言葉を無視して階段の裏に回る。

あたしは壁に押しつけられた。

「痛いってば!」

『なんで出てった?』

「だって・・・耐えれなくて・・・」

『はあ・・・心配すんだろ!』

ハルはあたしを抱きしめた。

『案の定あいつに手握られてるし、泣きそうな顔してるし・・・』

「ごめん・・・てかハル、順くんのこと知ってたの?」

『だって俺宣戦布告されたもん。』

「聞いてない。」

『言う必要ある?』

「人には全部言えってゆったくせに・・・」