ふたつの恋の物語

「またまた〜」

『いや、まじです。』

順くんの瞳はあたしを真っ直ぐとらえる。


「あたし彼氏いるし・・・」

『知ってます。
でも俺、負ける気ないです。』

「そんなとこ言われても・・・」

あたしは順くんから顔を逸らした。

そんな目で見ないで・・・


『先輩が春樹先輩のこと好きなのも知ってました。
でも、俺の方が先輩のこと幸せに出来ます!
悩ませたり泣かせたりしません!!!』



ゆっくり階段を降りる音が聞こえる。
あたしは耐えきれなくて立ち上がった。

「人が弱ってるときにつけ込むのは卑怯だよ。」

順くんに背を向けたまま言った。
階段を降りようとすると手をつかまれた。


『俺諦めませんから・・・』
『人の彼女に手出してんじゃねえよ。』