ふたつの恋の物語

「ハル・・・好きだよ。」

『知ってる。』


すぐ調子に乗るんだから・・・

「あっそ!
もう切るよ!」

『ちょっと待てって・・・』


すると階段を上がる音が聞こえた。

「誰か来たし、切るよ。」

『だから待ちなって。』

「え?」


携帯から聞こえる声がドアの向こうから聞こえる。

恐る恐るドアを開けるとそこにはハルが立っていた。


『お前ほんと待てないよな?』

携帯を閉じてしかめっ面をする。


「な・・・なんで?」

『ちゃんと話したいと思ったから。
彼女に会っちゃだめ?』

「びっくりするじゃん〜!」


あたしはハルをばしんと叩いた。

『いてっ!』

「もう・・・」

こんなに優しいと不安になるよ・・・


『俺のこと信じてよ。』

ハルは優しくあたしを抱きしめた。

「信じてるよ・・・」

『俺には東子しかいないから。』

「あたしだって。
ハルが優しすぎるから・・・」

『優しいか?』

「女の子には甘いし優しいよ!」