ぼくは、本当のパパとママの顔を知らない。
正確には、「覚えていない」だけ。


物心がついた頃には、今のパパ、ママが居てひなお姉ちゃんが居る生活だった。


ぼくとお姉ちゃんは、「チワワ」と言うワンコなんだって。


パパとママは、ぼくを抱いて
「なんて、大きなおメメなんでしょ」

「まつ毛だって、バシバシに長いぞ!」と言っては、可愛がってくれる。

チワワにしては、ちと大きくなり過ぎたと、言われるけど、

「この、モコモコしてぷくぷくした感じ、まるで、レッサーパンダみたい。ぬいぐるみを抱いてるみたいよ。」と、ママは抱きしめてくれる。


ひなお姉ちゃんも、初めて会った時から、ぼくの遊び相手をしてくれている。とっても優しいお姉ちゃん。

時々、叱られて落ち込む事もあるけど、ここのおウチへ来て良かったと思ってるよ。


ぼくは、末っ子。みんながぼくを可愛かってくれるから、この生活が、とっても気に入っていたんだ。

ところが...


ママが自分で気づく前に、ぼくは知ってしまったの。
ぼくのライバルが、やってきた事を。

動物の「勘」って、本当にすごいんだから。

つまり、ママのお腹に赤ちゃんが来たの。

パパとママは、
「最近、ムームが気持ち悪い位、大人しくね。お天気が良くないせいかしら?」
なんて、能天気に話してる!

赤ちゃんですよ!お二人さん。