畏れとは何か。

僕はまだわからない。
けれども風はこのホシができてからずっと流れ続け、畏れの真意をわかっているのだろう。


でもそれでいいのかもしれない。



だから僕は旅をする。
それで十分だと思う。



「あれを見てみよ。若き雫。」


しばらく上空で漂っていたが、風の声と同時に、標高が下がった。


眼下に広がっているのは、茶色の街。
あちこちで煙が舞い、たくさんの破裂音と銃弾の発砲音。
耳をさく、人の声。
騒がしいほどの街に、違和感を覚えた。

命が…違う…?


「風様。命が、おかしいように思えます。あれは?」


風は深い表情をして、じっと彼らを見つめた。

僕も同じように見つめる。

やっぱり……命が濁っている…


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