眼下には、雄大な青々とした自然が肩を並べ、思わずその迫力を身近に感じ、息をのむ。

「若きものよ。畏れたか。」


風が話し掛けてきた。
轟々と身体を押すそのなかでも、その声ははっきりと聞き取れた。

…どうなっているんだろう


「風様。自然は美しいです。僕は恐れません。」


「…そうか。それはならぬことだ。自然は畏れねばならない。」


どうして、という僕の視線に風はじきにわかる、といったきり口を閉ざした。



やがて雨が降ってきた。





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