“シールズ、あの嵐の夜僕は大切なものを見つけたんだ。”
「大切なもの?」
ベッドの脇の椅子に腰掛けたデニスは、横たわるシールズを見つめ頷いた。
“君の肖像画を描いていて、僕はどうしても表現出来ない色があることに気付いたんだ。それは君自身を表すには欠く事が出来ない色だった。その色を作るために僕は様々な材料を集め試作を繰り返した。だけどね…どうしても駄目だった。”
「デニスにも表せない色…そんな色がこの世にあるのか?」
シールズはベッドの中から碧い瞳をデニスに真っ直ぐに向け訊ねた。
“ふふふ。僕が散々手を焼いた色。その色が何だか解るかい?”
「解らないな…。」
彼の言葉に、デニスはクスクスと可笑しそうに笑いながら言った。


