†赤髪の冒険者ジーク外伝†~誓いの日~


騎士団の甲冑に身を包み、煌めく剣を構えたシールズの肖像画が飾られていた。
その出来栄えは見事としか言いようが無く、この絵を見た者は感嘆の声をあげた。
中でも人々の心を捕らえ、離さなかったもの…それは碧い輝きを湛えたシールズの瞳だった。
見る角度により微妙に濃さが変わる“蒼”…人は始めて目にする美しい“蒼色”にいつまでも見入った。
人々のデニスを賞賛する声は瞬く間に街じゅうに広まった。


しかし、その声は彼に届くことは無かった。


デニスは、肖像画が出来上がって間もなく酷い発作を起こし魔道医院に担ぎ込まれた。
それから四日間生死の境を行き来していたが、五日目の未明、誰にも見取られる事無くひっそりと息を引き取った。


彼の死を知らされたシールズは、直に彼の元へ駆けつけたがすっかり面変わりしたデニスの死に顔に驚きベッド脇に立ち尽くしたまま動くことが出来なかった。

「デニス、君が命を削って描き上げたあの絵を見るたびに…俺は君を思うだろう。君の人生はここで終わってしまった。だが、これから君は、俺の胸の中で共に生き続けるんだ。」

シールズはデニスの亡骸に語りかけると、ハラハラと涙を流した。