-現実と夢の間で-


「ぐっ…くぅぅっ。ファレル!待て、まだ…まだ勝負はついていない!」

「シールズ様!シールズ様!どうかお気を確かに!どうか…。」



ガシャーン


ガラスが床に落ち砕け散る音がして、私は今まで囚われていた悪夢から引き戻され目を覚ました。
涙に翳み、視界がぼやけた眼を見開き白い天井に無理矢理焦点を合わせる。


「っ…。」


私は仰向けになったまま、荒い呼吸がまだ治まらぬ胸に覆いかぶさる身体の重みを感じそちらへ視線を移した。
胸の上で明るい栗色の豊かな髪がハラリと流れ、その下から恐怖に怯えた黒い瞳が二つ覗いた。