ザザッ…ザバッ
シールズは泥まみれになりながらもなんとかデニスを引き上げた。
下着姿のデニスは苦しげな息を吐きながら、ゆっくりと身を起こし漆黒の瞳でシールズを見つめ口を開いた。
「…シールズ、見つけたよ。これでやっと“あの色”を作ることが出来る。」
「あの色?」
「そう。あの色…無限に変化する君の…。」
そう答えるとデニスは満足そうにニコリと微笑むとそのまま気を失いその場にバッタリと倒れた。
「デニス!」
シールズは慌てて彼を抱き起こし、軽く体を揺さぶってみた。
しかし、デニスの瞼は難く閉じられたまま何の反応も見せなかった。
シールズはデニスの体を自分のコートで包むと、慣れた様子で彼を背負い街の灯りを目指し早足で歩き出した。
この時、彼はこれがデニスとの永久の別れになるとは夢にも思っていなかった。


