《…もしもしー…》 「!?」 なんとあの“笠峰旅館”のマイペース女の声だった。 《あのぅ…御予約いただいたのですがぁ…いらっしゃらないので―》 「すっすみません…みっ道に迷ってしまって…」 宏隆は自分でも判る程動揺していた。 《…そうですかーお電話…下さればよかったのにぃ〜》 「はははっそうですよねぇ〜」 笑い声が乾いた。 「あの…付かぬ事お聞きしますが…そちらの旅館のご住所は…」 《はぃ〜えぇとぉ…○県■市〜◇△●ですー‥》 その住所は宏隆と早紀がバスで降りた所であっていた。