「それは教えてくれないから分からないけど、凄く優しい顔してるから悪い霊じゃないと思うよ。」



和江は淡々と喋る愛がとても五歳の子供には見えなかった。



「多分この人おばあちゃんの守護霊だよ。おばあちゃんのこと護ってる。」



愛の言葉で和江ははっとした。


瑞江は家族思いで凄く心配性だった。


生きていた時はいつも自分の事より他人を大事にしていた人だ。


つまり死んだ後までも自分ではなく他の人の事を心配していたのだ。



「…そっか。姉さんずっと守っていてくれたんだね……ありがとう。」



和江は後ろを振り返り見えない瑞江に言った。


それから愛の方を見た。



「ねぇ愛ちゃん。おばあちゃんと一緒に姉さんのお墓参りに行こうか。」



風鈴が静かに鳴った。







-8番 後ろのあなた-終わり