似非家族

その瞬間、女の目から雫が一筋。

それを皮切りに、後から後から止め処なく。

泣いたりするなよ……




俺が悪いみたいだ。




「文子さん大丈夫か……?」


ガキ共が心配そうに女を見守る中、俺はゆっくりと背を向けた。




「逃げるの?」




「逃げる……?」


お嬢ちゃんの言葉に、俺は背を向けたまま立ち止まった。


「私たちから……」




「“家族”から……逃げるつもり?」




その問い掛けに、俺はつい鼻で笑ってしまった。

そして、そっと呟く……




「逃げたのは……“家族”の方だ。」




スッと顔だけを後ろへ向ける。

お嬢ちゃんの表情からは、今のが聞こえたかわからないが……そんなことはどうだって良かった。


「とにかく、俺はテメェらの家族ごっこになんか付き合ってらんねぇよ。」




「俺は……家族なんかいらない。」