似非家族

「あ〜、そっかぁ……うん。そうなんだぁ……。」


俺は傷付いた……物凄く。

覚悟してたとはいえ、無表情でそんなキッパリ言われたら……。

やっぱり俺って所詮そんな存在なんだ……。

そうやって落ち込んでいると……


「私、人の名前覚えるの苦手なの。」


相変わらずの無表情で彼女が言った。

もしかしてフォローしてる……?

彼女の気遣いに気付いて、俺は苦笑した。


「あぁ、うん。解かるよ、なんとなく……。」


そういえば、彼女はそういう人だった。

美人だけど、何考えてるかよくわかんなくて……。

クラスで1人、浮いた存在だった。

でも、皆が彼女を避けている……とか、そういうのじゃなくて。




“高嶺の花”……。




男にとっても女にとっても、彼女はそういう存在だった。

だから彼女が誰かと会話してる姿なんて、あまり見たことがない。

名前を覚えるのが苦手なんじゃなくて、覚える機会がないだけなんじゃ……?

俺も彼女と会話するなんて初めてだし……




なんか……夢みたいだ。




……って、何感激してんだ俺は!?

それよりも聞きたい事があるだろうが!


「それはそうと!米倉はこんな時間にこんな所で何してんの……?」


さっきから気になっていた事を聞いてみる。


「君こそ何してるの?」


そう返されて、俺はかなり焦った。

だって『家出してる』なんて……何か言い辛いじゃん?


「えぇっと……まぁ、ちょっと色々あってですね……。」


どうして良いか解からず、ごもごもとそう答える。

すると……


「もしかして……」