似非家族

朝、セミの鳴き声で目が覚めた。

ゴロンと横を向きながら重い瞼をゆっくりと開く。

すると、横で寝ているはずの和四の姿がなく、視界には快適そうに眠るメグの姿が映った。

更によく見ると、和四が寝ているはずの場所に紙が置いてある。

横になったまま手を伸ばしてそれを取り、何か書いてあるのを確認した。

まだ頭がボーッとして読み込めず、ゆっくりと上体を起こす。

そしてもう1度、その紙を見た。

そこに書かれた言葉に、私の頭は徐々に覚醒していく。

これって……


「おはようございます〜。」


やっと状況をのみこんだところで文子さんが目を覚ました。

けれど、私はあいさつを返すどころではなく、ただただ手にしている紙を見つめる。


「愛美ちゃん、どうかしましたか?」


返事をしないでいると、文子さんがこちらに歩み寄ってきた。

文子さんは、私が紙を手にしていることに気付いてそっと覗き込む。


「こ、コレって……!?」


そう言ってから暫くの沈黙。

今、彼女の頭の中では色々な想像がなされているのだろう。

そして……


「た、たたた……」




「大変ですーーーーー!!!!」




近所迷惑もかえりみず、文子さんは凄まじい勢いで叫んだ。

その声にぐっすり寝ていたメグも目を覚ました。


「何だようっせーなぁ……。」

「め、めめめ恵さん!た、大変なんです!!」

「はぁ?」


訳が分からないままメグは起き上がり私たちの方へ。


「何だその紙?」


メグはそう言って私の持っていた紙を取り上げる。


「……何じゃこりゃ?」


それでもまだ状況がのみこめないメグがコチラを見やる。


「多分……そういうことだと思います。」

「マジで……か?」


そう、彼が1番の想定外……




『お世話になりました。 渡辺 和四』




和四が……家出しました。