似非家族

「……あぁ。」

「あの日、目を覚ましたとき文子さんを見てそう呼んでた。」


そういえばそうだったか……。

似ても似つかねぇのに、なんて思ったら、つい苦笑が漏れる。


「春子さんは施設の人で、俺の育ての親だった。」


俺にとっての家族は、多分あの人だったんだろう。


「髪染めたときは驚いてたけど、すぐ受け入れてくれた。“この人は俺を裏切らない”……そう思った。」


だから周りに白い目で見られても平気だった。


「でも……」




「俺は……裏切られた。」




絶望の果てにあったのは、絶望だけ……。


「だから俺は施設を飛び出して、バイトで生計立ててるってわけだ。」


そしてキッパリと言い切る。


「俺には最初から家族なんていないし、必要ない。」




「だから……お前らの家族にはならない。」